金属ファスナーの注意点

銅合金ファスナーの注意点

  • 銅合金は一般に酸、アルカリ、酸化剤、還元剤、硫化物等の薬品に反応し変色することが知られています。ファスナーに関しても生地等にそれらの成分が残留していると、金属エレメント、スライダー、上下止等の変色、移染の原因になります。耐食性が懸念される場合にはビスロン®︎ファスナー、コイルファスナーのご使用をお勧めいたします。
  • 皮革製品に使用されるなめし剤や酸類の残留によって変色を起こす場合があります。なめし加工後の洗浄、中和を十分に行った材料を使用してください。またファスナー取り付け時の接着剤等に含まれる加硫剤や添加剤の影響で変色することがあります。
  • 削れたり摩耗して内装の金属色が露出することがあります。ご了承の上ご使用ください。ストーンウォッシュなどの後加工によって表面が傷ついたり変色する場合があります。
  • 品質特性上、使用状況及び開閉回数によってエレメント表面からメッキが剥がれることがあります。サンプルを十分評価した上で採用を判断してください。
  • ウール、羽毛や他の獣毛を使った製品で漂白加工後の洗浄や中和が不十分であった場合エレメント変色の原因となります。十分に洗浄、中和、乾燥したものをご使用ください。
  • エレメント変色の原因になりますので、スチームアイロン等をお使いになる際は十分に乾燥させてから包装ください。また製品保管の際は高温多湿の環境を避けてください。
  • 硫化染料による変色はもとより、反応性染料(綿製品)を使用した生地との接触も脱色、変色、移染の原因となります。後染めや洗い加工を行う際は、ファスナーの変色、生地移染に対し十分なテストを行った上でご使用の判断をしてください。加工、仕上げ工程では湿潤状態での放置を避け速やかに十分な乾燥を行ってください。

アルミ合金ファスナーの注意点

  • アルミ合金ファスナーはアルミの軽さを活かしたファスナーですが、金属として硬度が低いという特性上、摩擦・酸・アルカリ等の影響を受けやすいファスナーになります。スライダー開閉時においてもエレメントの摩擦が発生するため、DA等の亜鉛合金スライダーより硬度の高いGA,GS等の銅合金スライダーとの組み合わせはご使用いただけません。エレメントのバリエーションとしてスタンダードアルミファスナー(MA,RA)とアルマイト処理により耐久性を向上させたYZip®(YAN)があります。パンツ用にはYZip®ファスナーをご使用ください。
  • ファスナー開閉時のエレメントの摩耗によりアルミ粉が発生し、生地とエレメントの接触(摩擦)で生地に移ったり、ファスナー潤滑剤(無色)に吸着した汚れ・ほこり等が潤滑剤と一緒に生地に移行して生地を汚す事例があります。アルミ合金ファスナーの保管や縫製時には、汚れ・ほこりがつかないようご注意ください。製品包装の際は、ファスナーが生地に直接触れないように合紙を挟んでください。(特に淡色生地の場合はご注意ください。)
  • アルミは、アルカリ・酸の影響を受けやすく、それらの洗剤の使用でファスナーのエレメントが溶けてパンクする(エレメントがかみ合わない)という事例が報告されています。洗剤が直接ファスナーのエレメントに触れますとファスナー破損の原因となります。洗濯時には水を十分に張った状態で洗剤を投入・撹拌した後、衣類を投入してください。つけおき洗いはお止めください。洗剤使用後は速やかに洗浄し洗剤を完全に洗い流してください。

靴に金属ファスナーを使用する場合の注意点

特にブーツに使用された金属ファスナーがパンクする事例が発生しておりますのでご注意お願いいたします。

  • 撥水剤・艶出し剤・ワックス等が直接ファスナーのエレメントに塗布されると、ファスナーの強度(横引や突上げ強度)が著しく低下します。靴に撥水剤・艶出し剤・ワックス等を塗布する場合ファスナーのエレメントに付着しないように注意してください。
  • ファスナーのバラシ縫い(スクランブル縫製)の場合、製造ロット固有の左右の微小なピッチの違いで、チェーン曲がりが生じやすく、強度低下や開閉性能に支障が発生祖ます。バラシ縫いの場合、左右のペアが合うようなNo付け等を行ってください。
  • ファスナーエレメントの際(きわ)を縫われるとスムーズな開閉が損なわれ重くなり、スライダー摩耗が極端に増加し正常な開閉に弊害が発生します。ファスナー付けはエレメントの際(きわ)から3mm以上(No.5金属ファスナー目安)話して頂くことを推奨します。また、インナー比翼はスライダーと強く干渉しないように十分離してください。
  • 下止めのない仕様の場合、縫いと接着等だけでは、下止性能にばらつきが生じやすくチェーン割れが生じるリスクが高くなります。下止め処理は確実に行ってください。

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